Fifteen Time’s the Charm
米国連邦議会の第118議会が1月3日の火曜日から開会した。開会と同時に下院議長の選出をするのだが、今回は15回もかかり、1回の投票で議長を選出できたかったのは1923年以来だそう。6日の深夜、正確には7日土曜日の午前0時30分辺りに15度目の正直とでも言おうか、マッカーシー下院議長が誕生した。投票は下院議員個々の名前を呼びながら行われるので1回の投票にそれなりの時間を要する(下院の定数は435名)。今回の議長選出投票には433名の議員が参加した。
1回目の投票から共和党側は波乱で全く足並みが揃わず…。マッカーシーに対して冗談とでも言えそうな対抗馬が数名出され、彼を簡単には議長にならせない、と言う約20名程の造反組に翻弄された。共和党は議員個々の思惑そして当選した選挙区の有権者や支援団体との公約を優先させるのか、それとも党全体の方針やあり方など”Big Picture”を優先して一致団結するのか、4日間の混沌が続いた。
それとは好対照に民主党院内総務には全15回とも満場一致の212票でジェフリーズに票が集まり、民主党は息の合った統一感を出した。
在宅勤務の私は、BGMの様な感覚で主にニュース番組をつけっぱなしで仕事をする。この投票行程を4日間見てきたが、テレビの政治ドラマ王道のThe West Wingや政治の腹黒い部分や野心野望などを前面に出したHouse of Cardsを思い出した。
政治界に身を置いていなくとも、良い意味でも悪い意味でも貸し借りを作る、と言う状況に出くわすことがある。貸しを作らず偽善者にもならない、と言う選択も有るかもしれない。しかし、政治に携わる限り貸しを作る借りを返すはどうやら世の常のように見える。議席定数が決まっているため、党内議員の約束の裏を取ることで議案の可決や不承認の確実性が分かり、賛成反対に関わらず”約束”にこぎつくためには貸し借りが多大な影響力を及ぼし、この約束を守る議員数を勘定できることが議長及び院内総務の手腕に依る。
この4日間は、私の好きなThe West WingとHouse of Cardsを正にリアルタイムで見た感じ。ちなみにペロシの議員数計算はいつも的確、と言われた。
DCエリアには国内外問わず政治経済に影響力を持つ人達が沢山いる。私の肌感覚調べによると(笑)、高校大学時代にディベートクラブに所属していた人、短距離走ではなく精神的なマラソンレースができる人、チェスゲームの得意な人が多い気がする。それは、政治経済は国益を長い視点で考えその重要性を伝える必要があるからではないだろうか。
さて、ジェフリーズの一番最初となる就任スピーチがマッカーシーの下院議長選出直後に行われ、これをライブで聴いたが(ハイ、夜な夜な起きて見てました)、とても良かった。その演説はペロシ前下院議長のリタイアを功績と共に讃える内容や彼の民主主義感及び共和党の指針を披露した。
彼の演説は教会での説教を私には彷彿させた。特にリズム感があり、とてもインスピレーションのあるものに思われた。言葉遊びと言うか、アルファベット順にキャッチーに民主主義の概念を披露した箇所は圧巻。これってアルファベット順に語ってる?と、私が気づき出したのは”M”辺りから。仕事も忙しく既に長い金曜日を過ごしていた私には、すぐにピンと来なかった(笑)。年をとると共に更に涙腺が緩くなってきた私は熱いもが込み上がってくるのを感じながら聴いた。
オバマは本当に優れたパブリック・スピーカーの一人だと私は思う。トランプはまともなことを語るどころか、完全文にすらなっていなかった。バイデンはまともで普通であることの重要さを再認識させてくれるけれどもインスピレーショナルとは違う。
おそらくスピーチ・ライターなどまだ居ない一議員であるジェフリーズの演説の完成度に私は目を見張った。彼の今後の活躍がいい意味でペロシを超えられるように応援したいと思う。
ジェフリーズの演説はこちらのCNNのYouTubeリンクからチェック。キャッチーに民主主義の概念をアルファベット順に語るところは13分30秒辺りから。